(*^◯^*)「あ、あぁ~ッ!」 チノちゃん、ボールポロポロポロ~ッ!
チノ「はい、今日の試合は終わり。お疲れさまでした」
(*^◯^*)「うぅ……あ、ありがとうございました……」
数ヶ月前、ドラフトで念願のプロ入りを果たしたのだが、『期待の若手は外野ばかりだから若手の内野として頑張って欲しい』 という期待の声があり、結果、チノさんが定期的に試合に出てくれるようになったんだ。
しかしチノさんはなんだか守備のことがキライみたいで、いつもいつも不愛想にボールポロポロして、失点イタイイタイなのだった。
(ヽ*´◯`*)「トホホ……チノさん打撃は良いのにボールポロポロはイタイイタイなんだ……あーあ、どうにかしてチノさんのボールポロポロが大和さんみたいな感じになってもらえないかな~、ん?」
深夜なのに室内練習場から明かりが漏れている。
チノ「よいしょ……よいしょ……」
(゚’◯゚゙*’)(ち、チノさんが、室内練習場でボールコロコロをキャッチする練習をしているんだ!?)
チノ「ふぅ……こんなものですかね……。もっと使ってもらえるように頑張らないと……」
(*^◯^*)「チノさーん!」 バターンッ!
チノ「ひゃあッ!?」
(*;◯;*)「チ、チノさーん! ごめんよーッ! チノさんは毎日ファンのためにボールコロコロの練習してたのにワイはそんなことも知らずに……ッ!
ハフッ!ハフッ! チノさんのサイン欲しいんだッ!」
チノ「ど、ドサクサにまぎれてサインを頼まないで下さい!」
(ヽ*´◯`*)「す、すみませんチノさん……!」
チノ「べ、別に、ボールコロコロの練習するくらい普通です……。それが私のお仕事なんですから……。それに、私は下手で、よくボールを落としてしまうので」
(゚’◯゚゙*’)「そ、そんなことないんだ! チノちゃんの打撃だけで僕達は十分ポジれるんだ! あっ、そ、そうだ! チノさんおてて出して!」
チノ「こ、こうですか?」
(*^◯^*)「そう! それじゃあ今からするからね! チノさんのマメで固いおててにボールコロコロするからね! ちゃんと受け止めてね!」
チノ「えっ、えっ?」
(*`◯´*)「ウオーッ! チノ! かちかちおててに打つぞ!」カキーンッ!
チノ「ひゃあッ!」ビシャーッ
(*^◯^*)「くっ、ふぅ……! す、すっごいファインプレーが出たぁーッ!」
チノ「ほんとうです……で、でもなんで……?」
(*^◯^*)「それはね……チノさんの気持ちが、ボールに伝わったからなんだ! チノさんのチームを思いやる優しさがね!」
チノ「私のやさしさ……」
(*^◯^*)「そう! だから、守備のテクニックなんて、二の次なんだ! 試合は、守備が上手い人にやってもらうより、打撃が上手い人にやってもらう方が点が入るんだ!」
チノ「だ、打撃が上手いって……はわわ……あ、あの……もうちょっとだけ、練習に付き合ってもらってもいいですか?」
(*^◯^*)「もちろん!」
その後、僕は一晩中チノさんのおててにノックを続けて次の日の朝は起き上がれないほど疲弊したし、不法侵入で警察に突き出されたんだ。
でもまぁ、三日後、拘置所にチノさんが来てくれてサインをくれたから結果オーライ! 終わり