一場「えっ？俺が西武にトレード？」

一場「西武か・・・。打線が強い印象だな。」

一場「戸田でよく投げていたからだろうか？球場の周辺を西武関係者が歩いていたのかもしれないな」

一場「どうせここにいても出番はないんだ。これもチャンスだと思おう」

渡辺「あー、今日から我がチームの一員となる一場だ。みんな仲良くしてやってくれ」
一場「よろしくお願いします！」
ぱちぱちぱち・・・

一場「(心なしか野手の人と一部の投手の人の反応が冷たいな・・・)」

一場「久しぶりの先発だ。ここでしっかりアピールしてローテに食い込むぞ」

一場「しかしなんなんだろうか。どうも投手陣、特に先発ピッチャーに重い空気が漂ってる気がするな」

一場「ははーん。さては俺が来たことでローテの枠が一つ減るんじゃないかとみんな心配なんだな」

一場「この感じ・・・久しぶりだ。やっぱり先発は楽しいな」
一場「ようし、初回から全力で行くぜ！」

実況「一場、先頭の本多に対しストレートのフォアボールです！」

一場は毎回のようにランナーを許すもなんとか6回を投げ切り、3失点(被安打7 四死球6)とまずまずの内容にまとめた

渡辺「一場、ご苦労だった。今日はここで交代だ。」
一場「わかりました」
渡辺「裏でアイシングをしていていいぞ」
一場「はい。では行ってきます」

杉本「いきなり「あれ」を見せるのはかわいそうですからね」
渡辺「そうですね・・・」

ロッカールーム

一場「チームは5点差で勝っているし、このままいけば勝ち投手か。」
一場「長かったがようやく白星を挙げることができそうだ。この白星を復活のはずみにしよう」

一場「ふう。久しぶりに長い回を投げたからかなんだか眠くなってきたな。・・・ZZZ」

ドワアアアアアアアアアアアアア

一場「はっ！ついうっかり寝てしまった。いかんいかん」
一場「この歓声は・・・試合が終わったのかな？見に行ってみるか」

一場「ん？なぜソフトバンクの選手がホームベース付近に集まっているんだ？」
一場「あれ・・・監督、どうしたんですか？勝ったんでしょう？選手を出迎えないと」
渡辺「一場、辛いかも知れんが・・・スコアボードを見ろ」
一場「えーと・・・」

Ｌ 130 220 010　9
SB 100 101 334ｘ13

一場「あ・・・逆転負け・・・ですか。」
渡辺「そうだ。すまんな・・・せっかく試合をつくってくれたのに」
一場「まあ残念ですが仕方ないですよ。それより次はもっと頑張ります。」
渡辺「すまんな・・・(ここからが本当の地獄だ・・・)」

アナ「放送席放送席～、今日のヒーローは見事なサヨナラ満塁ホームランの内川選手です！」

一場「岸の奴、なんだかおかしかったな」

一場「しかし今日は久しぶりに投げられてよかった。ここでなら俺の居場所もあるかもしれない」

一週間後・・・

実況「さあ西武ドームのマウンドには一場が上がっています」
一場「今日こそ復活のマウンドにしてやる。つかみ取ってやるぜ白星！(ｽﾞﾊﾞﾝｯ！」

実況「一場、初回一死二三塁のピンチを招きましたがなんとか無失点で切り抜けました！」

一場は8回途中、二死から連続四球を与えたところで降板した

一場「今日は2失点か。前回よりもイニングを稼げて良かった。」
渡辺「・・・」
一場「今日はベンチで最後まで応援するか。一点差だがまあだいじょ・・・(ｶｷｰﾝ！」

実況「入りました！入りました逆転ホームランです！代わった岡本が打たれましたー！」

また一週間後

実況「あー！ゴンザレスが打たれました！これで一場の勝ち星は消えてなくなりました！」
一場「・・・・・・・・・」
渡辺「・・・・・・・・・」
一場「・・・なかなか白星がつかないなあ」
渡辺「・・・・・・・・・」

岸「その写真は・・・」
一場「俺のかつてのライバルだ。大学時代は和製ランディなんて呼ばれていたな」

一場「こいつはもう投げることすらできない。野球をやりたい！まだ燃え尽きていない！・・・そう思いながら・・・逝ったんだ」
岸「・・・」

一場「俺は幸せだ。まだチャンスがある。いや、これが最後のチャンスかもしれない」

一場「もし、もしここで涌井のようになってしまったとしても、俺は悔いは残らない。」

一場「間違いなく、完全燃焼だからな」

岸「一場さん・・・本当に？」
一場「ああ、どうせ終わってしまう身だったんだ。いまさら肩肘が壊れたところで何も惜しくはない。」
岸「ふん・・・どうせすぐに後悔するにきまってますよ」
一場「俺はやらずに後悔するよりやって後悔したいんだ」
岸「・・・わかりました。もう止めませんよ」
一場「俺は早速監督に直訴してくる。じゃあな、岸」
岸「ええ・・・」

岸「・・・・・(頑張ってください)」

渡辺「・・・つまり、お前が先発する試合は中継ぎをベンチ入りさせるな、と。」
一場「その方が背水の覚悟で臨めますから」
渡辺「いいだろう。というよりもうどうでもいいや」
一場「ありがとうございます！」

こうして一場の闘いは始まった
一場は自分が先発する日には中継ぎ陣を入れさせないことで完投するしかない状況を作りあげたのだ

どんなにピンチを招いても、野球をやれる喜びを全身で味わっている一場は大崩れしなかった
一試合、一試合、確実に勝利をもたらし続けた。(普通に20失点する試合もあった)

一場の活躍により、最下位に沈んでいた西武は息を吹き返した
怒涛の追い上げをみせ、夏場にはついに首位ソフトバンクと並んだのだった・・・

一場「今日の試合は負けられない・・・絶対に勝ってやる！」

この日の一場は気合いが入っていた。3ボールから簡単にランナーを歩かせない気迫のピッチングで8回を終了し無失点に抑えていた
そして9回のマウンドに上がった一場だったが・・・

一場「あと3人、あと3人抑えれば優勝がぐっと近づく！」
一場「先頭はペーニャか。こいつを打ち取って・・・(ﾋﾞｭｯ」
ペーニャ「フンッ！(ｶｰﾝ！」
一場「なっ・・・！」

ゴシュッ！！

一場「ぐわああああああああああああああああああああ！！！！！！！」

一場「そんな！俺しかいないんです！最後まで、最後まで投げさせてください！」
渡辺「無茶を言うな！ボールも握れない奴にマウンドを任せられるわけないだろう！」
一場「くそっ！」
一場「(また・・・また終わってしまうのか？　こんなところで・・・)」

？？？「一場さん、後は任せて下さい」

岸「しかし、しかし一場さん。あなたは僕たちに大切なことを思い出させてくれました」
一場「えっ？」

岸「・・・野球に対する情熱です。一場さんが来る前の僕たちは、勝ち星、打率、そういったものに囚われて勝利に対する執念を失っていました」

岸「いつからだったんでしょう。勝利よりも個人成績を気にするようになっていたのは・・・」
岸「そんな僕たちは勝っても負けてもひたすら一人で投げ続ける一場さんの姿を見て思い出したんです。」

岸「ああ、野球ができるって幸せなんだな、と」

岸は後続を三者三振に仕留め、西武は勝利した。
この1勝で西武は波に乗り、破竹の5連勝。ついにリーグ優勝を果たした・・・

しかし一場は怪我に加え、これまでの疲労もたたりマウンドに戻ってくることはなかった。

Ｍ 001 100 026 10
Ｌ 200 300 100 6

岸－岡本－●ゴンザレス－星野
本塁打　大松1号4点(9回星野)

一場靖弘西武編　完

一場「遂に堕ちるところまで落ちたって感じだな・・・
ふふ・・・二流ピッチャーにふさわしい末路ってとこか」

一場「だがそんな二流ピッチャーでも必要としてくれるところがあるということか。俺は変える。・・・ベイスターズを変えてやるぞ。」

一場「ふう、今日もプロスピでもやるか。ペナントで一場を先発にしてっと・・・」
『続いてのニュースです。横浜DeNAベイスターズよりFA宣言していた村田選手が
ジャイアンツとの入団に大筋合意したことが明らかとなりました』

一場「な、何だって？村田さんはいなくなるのか？」

自主トレが始まる

新沼「みんな、今年こそは優勝目指して頑張ろう」
石川「四位くらいにしといた方がいいんじゃないですかｗｗｗ？」
吉村「というよりも、新沼さんは目指せ一軍だよなｗｗｗ」
新沼「バカ野郎ｗｗｗ」
ﾄﾞｯ
一場「やはり村田さんが抜けたところで第二、第三の村田さんが現れる。このチームはもう・・・」

その夜、横浜市内の飲み屋にて

一場「まさかこんな形で再会するとはな」
野間口「ええ、皮肉なもんですね。」

一場「覚えてるか？アマ時代の事。俺達BIG3とか呼ばれてたよな」
野間口「誰が来季の新人王か？とか書かれてましたね」
一場「月日は残酷だな・・・」
野間口「そうですね・・・」

？？？「せやなあ～残酷や。」

ノリ「無敵のマシンガン打線とか呼ばれとってな。対戦するピッチャーを恐怖のどん底に陥れとったんやで。」
一場「信じられない・・・」
ノリ「ベイスターズだけやない。ワイも昔は輝いとった。
ホームラン王をとったこともあった。日本シリーズでMVPに選ばれたこともあった。」
野間口「えっ！？」
ノリ「・・・ぜーんぶ昔の話や。」

橋本「はい！生ビールおまたせいたしましたー！」

グイッ
ノリ「ふう・・・お前らはここに来たことを後悔しとるか？昔に戻りたいと思うか？」
一場「・・・」
ノリ「ワイは後悔しとらん。昔に戻りたいとも思わん。」
野間口「？」

ノリ「人はどれだけ後悔しようと、過去を懐かしもうと、今を生きていくしかないねん。 今をうじうじ生きとったら、『今』はまた後悔する『過去』になるねん。
そしたらまた次の『今』を後悔して、それがまた『過去』になって・・・」

ノリ「せやからな、ワイはもう過去のことを考えるのはやめにした。
変えられん過去よりいくらでも変えられる未来のため、今この一瞬を全力で楽しむことにしたんや(ﾋﾞｰﾙｸﾞｲｯ」
一場「・・・」
ノリ「ま、ワイはそれに気づくのか遅すぎたんやけどな。お前らはまだ若い。これからなんとでもなるで。」

橋本「はい！こちら焼酎ハイボールでございまーす！」

一場、右肘に違和感・・・開幕は微妙に

横浜DeNAベイスターズの一場靖弘投手(30)が15日の練習中、右肘の違和感を訴え、別メニュー調整をしていたことが、16日わかった。17日にも帰京し、病院で精密検査を受ける予定。
白井監督は、「詳しいことはまだわからないが、もしかしたら(開幕は)難しいかもしれない。」と語った。
横浜は11日にも野間口投手が練習中に足を痛め、キャンプから離脱している。

2月16日　日刊スポーツ

5月半ば、ようやく怪我の完治した一場は一軍へと合流した。

1 巨人
2 ヤクルト 0.5
3 阪神 2.5
4 中日 3.0
5 広島 4.0
6 横浜 12.0

一場「えっ、何この順位は(ドン引き)」

野間口「まさかここまでとは・・・」
一場「野間口！お前がついていながらなんてザマだ！」
野間口「僕の成績を見ていただければ少しはわかるかと・・・」

野間口　9試合 1勝6敗 3.11

一場「なるほど」

ナ「さあ、プレイボールです。横浜の先発は一場。今季ヤクルトから移籍してきて9勝と、素晴らしい活躍を見せています。」
一場「(今日は絶対負けるわけにはいかない・・・頼む那須野！力を貸してくれ！)」

アナ「初回、満塁のピンチを迎えましたが一場なんとか無失点に切り抜けました！」

カーン！
アナ「これは入りました！中村紀洋のツーランで横浜先制！
解説「すごいですね、これでホームラン争いは単独トップですか？」
アナ「あ、そうですね。ええと二位は・・・」

村田「・・・チッ」

『四番、サード村田』
一場「村田さんか、一発に注意だな。」
ﾋﾞｭｯ
一場「しまっ・・・」

カーン！

アナ「打ったー！右中間！フェアだフェアだ！」

一場「くっ、だが村田さんなら今のはホームランにできたはず・・・なぜ右中間に？」

アナ「あっと村田が二塁を蹴りました！」

吉村「よし！この距離なら刺せる！」
ビュン！

ノリ「よっしゃ！ええ球や！これならアウ・・・」

村田「(ﾆﾔﾘ」

一場「なっ！村田さん！今のは酷いでしょう！」
村田「は？おいおい、俺がわざとやったとでもいうのかよ。」
石川「そ、そうですよ！いくらなんでも危ないですよ！」
村田「おい石川。お前ずいぶんと偉くなったんだな。」
石川「ヒィッ！」

アナ「あーと！これはいけません！両軍ベンチから選手が・・・」

ノリ「やめい！！！」

ノリ「やめい！ワイは大丈夫や。村田もわざとやない。せやろ？」
村田「当たり前ですよ。全力プレーの一貫です(ﾆｯｺﾘ」
渡辺「で、でもノリさん・・・足から血が・・・」
ノリ「最近高血圧やったからな。ちょうどええわ(ﾆｯｺﾘ　(その顔はひきつっていた)」
アナ「どうやら乱闘には至りませんでした。村田はタッチアウトでチェンジです。」

村田「・・・面白くねえな」

白井「一場よくやった。だがもうお前は限界だ。後は真田に任せて・・・」
一場「いえ、せめてこの回は投げさせてください」
白井「何？」
一場「お願いします！絶対に抑えます！」
白井「・・・わかった」

「バッターは、四番、サード村田」

村田「ふっ、ホームラン王だけでなく打点王もアシストしてくれるとは、気前がいいじゃないか。」
一場「・・・」
村田「だんまりか。まあいい。来い、引導を渡してやる。」

2ストライクと追い込む。しかし村田は微動だにせず。

村田「(ふふ、ここまで作戦通り。この場面、追い込んだら自分の一番自信のあるボールを使ってくるはずだ)」
アナ「フルカウントです。さあ、一場。セットポジションから」

村田「(そしてお前は言ってたよなあ？一年前。)」

アナ「第6球目を」

村田「(自分の得意な球は)」

アナ「投げました！」

村田「ドラゴンシュートだってなぁ！」

アナ「三振！村田三振です！」

村田「バカな！」

一場「(村田さん恐らくシュートにヤマを張っていたんだろう)」

村田「落ちた・・・だと？」

一場「(あの時、きちんと俺の話を聞いていたら、ザ・フォールのこともわかっていたかもしれないな。)」

試合は9回、二死から守護神山口がピンチを招く

アナ「さあ一発出れば逆転という場面でバッターは、四番村田です」

村田「(こうなったらあのサードの老いぼれ狙いだ。)」

ﾋﾞｭｯ
カーン！

バシッ
ノリ「しまっ・・・！」

石川「うわあああああああああ！」

バッシィィィィィィィィ！

アナ「とっ、捕っています！石川、中村の弾いた打球を直接捕っています！ゲームセットです！」
ノリ「石川・・・！」
石川「へ、へへ・・・成長！」

野間口「先発だからね、出番がないのはしょうがないね」

その後勢いづいた横浜は巨人を三タテ。ついに首位に躍り出る
そして・・・・

アナ「やりましたー！最後は一場が満塁のピンチを迎えましたが見事抑えました！横浜優勝！横浜優勝です！」

渡辺「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！」
野間口「やったぁぁぁぁぁぁ！」
吉村「焼き肉の時間だあああああああああ！」
石川「グスン、グスン」
一場「(那須野、やったぞ・・・)」
ノリ「ふっ、ええもん見せてもろたわ。」

日本シリーズ
SB4勝　横浜0勝

SB10ー2横
SB5ー0横
SB11ー0横
SB9ー0横

MVP 内川聖一(SB) .455 5本11打点

おしまい

平野「わからないことがあったら何でも聞いてくれよ」
一場「ありがとうございます！」
久保「これから一緒に頑張っていこう」
一場「はい！」

一場「(他球団から移籍してきた人たちが多いから過ごしやすいな・・・)」

一場「(うん、なかなか明るい球団じゃないか。ここでなら楽しくやっていけそうだ)」

ﾓｸﾓｸﾓｸ

一場「ん？何だ？タバコの香り・・・？」

一場「それはお疲れ様です。」
金本「おう、まあ大変やと思うが頑張れや」
一場「ありがとうございます！」

金本「(しっかしこいつら下手やなぁ・・・若手は何をやっとんのや・・・)」

その後も金本は毎日のようにグラウンドに現れた。
練習を見守るその表情は何か思いつめているようだった。

一週間後の夜
一場「秋季キャンプもそろそろ終盤だな。ニュースでも見るか(ﾃﾚﾋﾞﾎﾟﾁ―」

キャスター「さあここで驚きのニュースが飛び込んできました。
昨季引退した阪神の金本知憲選手が、現役復帰するとの意向を示したとのことです」

一場「！？」

記者「突然現役復帰、どのような理由でその結論に至ったのですか！？」
金本「秋季キャンプを見ていて、やはりこのチームには僕がいないとダメだと・・・(ﾊﾟｼｬﾊﾟｼｬﾊﾟｼｬ」

一場「金本さん、そんなことを考えていたのか・・・」
一場「しかしこれでチームは強くなる！なんて言ったって大打者だからな！来季が楽しみだ！」

和田「一場、お前は中継ぎスタンバイだ。いつでも投げられるよう準備しておけよ。」
一場「はい！」

開幕して三試合目(DeNA戦)、ついに一場の出番がやってきた

一場「1点ビハインドの7回か。勝つためには一点もやれない場面だ。」
藪「頼んだぞ」
一場「久しぶりの一軍マウンドだ。とにかく頑張るぞ！」

一場は二死まで簡単に抑えるも、2ナッシングから二者連続でファーボールを与え、二死一、二塁のピンチを迎えた
打者は今日二安打の中村(左2 三失 左安)

藤井「まるで成長していない・・・」
一場「す、すいません・・・」
藤井「とにかく無失点に抑えれば何でもええ。ビビらんと腕振って投げ込んでこい！」
一場「はい！」

一場「くそう、これじゃいつもと同じじゃないか。違う！俺は変わったんだ！」
一場「いっけええええええええええ」
ノリ「(甘っ！)」
カキーン！

一場「(何とか無失点・・・あぶなかっｔ)」
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
一場「！？な、なんだこの歓声は！？」

アナウンサー「あーと金本がボールを捕れない捕れない！ボールはフェンスまで到達！」
一場「そ、そんな馬鹿な！？レフトフライだぞ！？」
アナウンサー「一人ホームイン！二人ホームイン！打った中村は三塁へ―！」(ﾋﾟｭｰﾋﾟｭｰﾋﾟｭｰ) ←ジェット風船の飛ぶ音

一場「・・・・・！」
藪「・・・・・。一場、交代だ。」
一場「は、はい・・・」

アナウンサー「うーん、今の打球金本は捕れませんでしたかねー？」
赤星「いやあー、あそこまで飛ばされた一場が悪いですよ。」

結局、この失点が響き阪神は敗れた。試合終了後、一場は二軍降格を告げられた。

一場「くそっ！どうしてこうなるんだ！せっかく一軍に上がったというのに！」
一場「あんなの・・・ピッチャーに責任はないじゃないか！ふざけるな！(ﾀﾞﾝｯ」
藤井「(・・・一場、そもそもお前が四球出さへんかったらピンチになってへんで)」

俊介「若手や生え抜きに厳しいですよねぇー」
森田「そうそう。こんな球団入るんじゃなかったよ」
狩野「一場は生え抜きでも若手でもないけどな」

？？？「ほーう、ずいぶんな言い方やないかお前ら。」

狩野「そんな・・・急に言われても・・・」
一場「いや、受けて立ちましょうその勝負」
俊介「一場さん！？」
一場「おもしろいじゃないか。要は俺が打たれなければ問題ないんだ」
狩野「いや、だからそれが一番問題なんだよ」
森田「そうですね。どっちみちこのままだと何も変わらない。僕も、やりますよ」

金本「決まったな。明朝9時、甲子園集合や。それまでに9人集めとくんやな！ハッハッハ！(ｽﾊﾟｰ」

翌日、金本に不満を持つ若手9人が甲子園に集結した

金本「はん！負け犬どもがぎょーさん来おったわ！」
一場「言わせておけば・・・」
桧山「ぎゃふんと言わせてやるぞ！いいかお前ら！」
森田「なんで桧山さんがこっちサイドなんですか」
桧山「あの人がいると俺もいつまでたっても引退できないんだよ！もういい加減代打の神様は疲れたんだ！」
俊介「はあ・・・」

一場「もういい。何も考えない。何も考えず小宮山のミットめがけて投げる！」
一場「でええええええええええええええい！」
ビュッ！！！シュルルルルルルルルル

ｺﾞｼｭ

小宮山「か、金本さん！」
森田「まずい！まともに頭に当たったぞ！」
一場「・・・・・(絶句)」
野原将「タンカ！いや救急車だ救急車！」
黒瀬「大丈夫ですか金本さん！？」

金本「・・・ワイは、タイガースが好きやった。」
一同「！？」

金本「じぶんのからだはじぶんでようわかる。おまえら、たいがーす、にほんいち・・・」
桧山「金本さあああああああああああああああああん！！！！！！！！！！！」

ｼｭｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳ・・・・・

狩野「き、消えた・・・？」

ち～ん(笑)←お鈴の音

俊介「不思議だよな」
森田「何がですか？」

？？？「あいつらやるやないか！ヤニもウマいってもんや！(ｽﾊﾟｰｯ」
？？？「もう！お兄ちゃんってば天国に来てまでタバコ吸うのやめなよ！」

おしまい

翌日　戸田

審判「ボール！フォアボール！」

猿渡「一場の奴全然球が走ってないじゃないか・・・」
一場「くそっ！オールスターの件が気になって集中できない・・・！」

試合後

一場「くそっ！今日は散々だった・・・オールスターに選ばれたっていうのにこんなザマでは・・・」

一場「お、スポーツニュースが始まるな」

キャスター「えー本日、プロ野球オールスターの出場選手が決定いたしました」

キャスター「セリーグ・・・・・巨人・野間口投手、・・・パリーグ・・・ロッテ・那須野投手・・・」

一場「な、何であいつらがオールスターに？」

翌日

由規「あ、一場さん聞きましたよ！凄いじゃないですか！」
一場「由規・・・？　ああ、お前またマメ潰したのか・・・」

由規「とにかく、頑張ってくださいね！一場さんはスワローズの代表ということなんですから！」
一場「代表・・・？俺がスワローズの代表・・・？」

一場「そうか・・・俺が代表か・・・」

翌週　戸田

猿渡「ほう、今日の一場は調子がいいな。」
八木沢「ええ、２－３から簡単に歩かせなくなりましたね」

一場「俺はスワローズの代表として投げるんだ。」

一場「いつまでも二軍で燻っていられるか！」

米野「今日の一場は雰囲気が違うな・・・」

試合後

一場「明日から一軍？」
猿渡「ああそうだ。今日好投(6回3失点)したからな。」

猿渡「それにオールスター出場者は一軍に登録されている必要があるらしいからな」

一場「ついに・・・始まるのか・・・」

オールスター当日　新潟

一場「凄い人だな・・・戸田とは全然違う・・・」

田中「あ、阿部さんﾁﾜｰｯｽｗｗｗｗｗｗ今日はよろしくお願いしますねｗｗｗｗ」
田中「吉見さんﾁﾜｰｯｽｗｗｗｗｗ藤川さんﾁﾜｰｯｽｗｗｗｗｗ」

田中「一場さんﾁﾜｰ・・・・ちょｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ一場さんｗｗｗｗｗｗダメですよグラウンドに降りてきちゃあｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

ウグイス「オールセントラルのオーダーは、１番ショート、川島慶・・・・」

一場「何か原監督変だったな。急にマジになったというか・・・」

三浦「おーい、一場ー！グローブ取ってくれ！」
一場「あ、はーい」

一場「あ、野間口・・・」
野間口「おう、一場・・・」
一場「調子、どうよ・・・？」
野間口「うん・・・まあまあかな・・・」
一場「そうか・・・・」

一場　野間口「・・・・・」

野間口「俺達さ・・・プロ入り前めっちゃ注目されてたよな・・・」
一場「ああ、那須野と三人でな・・・」

野間口「厳しいな。プロって」
一場「ああ・・・」

試合はあっという間に進み、６回

野間口「よし、じゃあ行ってきます」
藤川球「頑張れよ！」
クルーン「ヘイジョウシン、ヘイジョウシン！」
岩瀬「まだ俺たちは助けられないからな！」

一場「これが・・・オールスターなんだな」

阿部「しかし今日の原監督、変でしたね」
クルーン「アア、イツモイジョウニピリピリシテイタナ」
岩瀬「やっぱあれはおかしいのか？オースルターなのにピリピリというのは変だな・・・」

一場「・・・？」

野間口　ランナーを出すも無失点

原「野間口、よくやった、本当によくやったね(ﾆｯｺﾘ」
野間口「あ、ありがとうございます。」
原「失点していたら東京湾にドボンだったね(ﾆｯｺﾘ」
野間口「！？」
原「冗談だよ冗談(暗黒ﾆｯｺﾘ」

パシフィックのピッチャーは那須野

打順は３番小笠原、４番ブランコ、５番金本だが・・・

原「審判、代打だ」

ウグイス「オールセントラル、バッター小笠原に代わりまして・・・し、志田？」

ざわざわざわざわ

志田　ニゴロ

原「よしよし(ﾆｯｺﾘ　ブランコ、お疲れさまだったね(ﾆｯｺﾘ」

ウグイス「オールセントラル、バッターブランコに代わりまして・・・大西」

ブランコ「ボス、ボクハナットクガイカナイネ」
落合「おい原、ずいぶんとふざけた采配じゃないか」
原「お祭りに采配も何もないでしょう(ﾆｯｺﾘ」
落合「ぐ・・・確かにそうだが・・・高田さんはどう思います」

高田「慶三がオールスターのスタメン慶三がオールスターのスタメン慶三がオールスターのスタメン慶三がオールスターのスタメン」

大西、ライト前ヒット

原「ファッキューホッナ」

ウグイス「オールセントラルバッター金本に代わりまして・・・和田」

原「いつも通りで頼むよ(ﾆｯｺﾘ」

実況「和田引っかけた！　６・・・４・・・３！ダブルプレー！」

原「采配的中だね(ﾆｯｺﾘ」

セントラル　ブルペン

一場「ついに出番が来るのか・・・」

阿部「いいか、緊張せずに投げてこいよ」
一場「はい」
阿部「最悪点数を取られても構わない。お祭りなんだかr　うっ！」

原「絶対に点を取られてはいけないよ(暗黒ﾆｯｺﾘ」
阿部「か、監督・・・」

原「そこのところをわかっていないキャッチャーはいらないね(ｶﾞｯｶﾘ」

原「審判、選手交代だ」

ウグイス「セントラル、キャッチャー阿部に代わりまして、城島」

阿部「がはっ・・・！ううう・・・・」

原「この回を凌げば終わる・・・全ては計画通りだね(ﾆｯｺﾘ」

原「念には念を入れておこうか(ｼｯｶﾘ」

ウグイス「オールセントラル、センター英智」

パリーグ先頭打者　片岡

城島「(普通にやれば問題はない・・・しかし投手は一場や・・・)」

城島「(よし、この作戦や)」

審判「ボール！フォアボール！」

城島「(打たれて取られるよりは・・・・)」

実況「片岡走った！」

城島「走らせて刺すや！！（ﾋﾞｭｯ」

審判「アウトォォォ！！」

原「(ﾆｯｺﾘ」

城島「(これでストライクも稼いだ・・・さてどうするか・・・)」

城島「(１番は坂口・・・２番は川崎・・・３番は大松・・・４番は・・・ん？これは・・・)」

城島「(俺の考えが正しければ・・・)」

城島「一場！ちょっと来い！」

一場「な！？それは危険すぎじゃ？」
城島「ええねん、俺を信じろや」

審判「ボールフォア！　ボールフォア！」

城島「(よし、大松も歩かせて・・・・)」

カーーーン！！！

城島「な！？ボール球を！？　しまった！！！！！」

実況「打球がセンター前へ！」

城島「くそ！英智！バックホーム！！！」

英智「ズギュウウウウウウウウウウウン！！！！」

坂口「うお！？」

実況「坂口は３塁ストップ！！！」

原「やはり僕は名将だね(ﾆｯｺﾘ」

城島「た、助かった・・・マートンとは違うんやった・・・」

城島「でもこれで舞台は整ったで」

ウグイス「４番DH　松中」

一場「ど真ん中ど真ん中・・・・」

一場「待てよ・・・？」

一場「俺はど真ん中に投げられるのか・・・？」

城島「何やと！？ど真ん中に投げられへん？」
一場「はい・・・というより自信が・・・」

城島「アホか！お前はピッチャーやろが！何ビビってんねん！」

一場「だって・・・俺・・・大したピッチャーじゃないし・・・そもそもこんなところにいるのが間違いだったんですよ・・・」

城島「アホか！！！！」

バシイイン！

一場「！？」

城島「できるかできないかやあらへん！やるんや！それがプロ野球ちゅう世界なんや！」

一場「・・・・・」

城島「お前がここに立つほど大したピッチャーじゃないとしてもやな、お前はもう立ってるんや！それが現実なんや！」

城島「もう一度言うで。やらなアカンのや。そしてお前はそれを確実に達成する」

一場「・・・わかりました。俺の渾身のど真ん中見せてやりますよ」

城島「いや、球速は140ｋｍくらいでかまわん

一場「？？？？とにかく、ど真ん中行きますからね。」

城島「おう、俺を信じろ！」

一場「うおら！」

松中「むっ！　フン！！」

カアン！！

実況「詰まった！セカンドゴロ！　４・・・６・・・３！ダブルプレー」

城島「よっしゃ！」

一場「やった！城島さんやりましたよ！！」

城島「一場、お前から猛虎魂をビンビンに感じるで！！！！」

一場「さあベンチに・・・何だ？地震？？」

原「計画通り・・・計画通りだね(ﾆｯｺﾘ」

落合「計画・・・？どういうことなんだ原・・・」

原「センターを見てみるんだ」

落合「な、何だあの巨大な穴は？」

原「我が大正義巨人軍に古くから伝わる古文書にこうあるのさ・・・」

原「シダックスの雄、日大の雄、そして明治の雄の投手リレーを完成させた時、最強の魔人が召喚されるだろう・・・」

原「野間口、那須野、そして一場のことだね(ﾆｯｺﾘ」

原「誤算だったのは那須野がパリーグに移籍したことさ・・・大矢の奴最後の最後で大仕事をしていったね(ﾆｯｺﾘ」

原「でもそれももう過去のこと・・・現れろ最強の魔人！！！」

ピシャーーーン！！！　　ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

落合「ガ、ガンダムだ・・・・ガンダムじゃないか！！！！」

一場「何だ・・・？魔人・・・？明治の雄・・？俺が・・・？」

一場「スタジアムがめちゃくちゃ・・・これは俺のせいなのか・・・？」

一場「こっちに来る・・・？　来るな・・・来るなああああああ！！！！」

ガシュウウウウン

？？？「間に合ったようだね(ﾆｯｺﾘ」
？？？「ギリギリやったな」
？？？「アブナカッタデスネ」

一場「あ、あなた方は・・・・」

日ハム小笠原「(ﾆｯｺﾘ」
中日中村ノリ「おう！」
ガイエル「Let’s　省エネ！」

一場「何で・・・あなた方は死・・・」

日ハム小笠原「人を勝手に殺さないでほしいね(ﾆｯｺﾘ」
中日中村ノリ「せや、ロスタイムみたいなもんやろか」
ガイエル「オユルシガイタダケタノデネ」

日ハム小笠原「さあこいつをなんとかしないと・・・」

ガイエル「パニッシュメント・スラッシャー！」

魔人「グオオオオオ！！！？？？」

原「ば、バカな？」

落合「ガンダムがー！俺のガンダムがー！」

日ハム小笠原「原監督、しばらく眠っていてもらいますよ」
原「うっ・・・（ｶﾞｯｸﾘ」

一場「何がなんだか・・・そうだ！那須野たちは？」

中日中村ノリ「保護済みや。さて、説明せんとアカンな。この有り様を」

中日中村ノリ「まず勘違いしてほしくないのは、原監督は最初は本当に純粋な気持ちやったんや」
日ハム小笠原「大正義巨人軍に伝わる古文書の内容というのは本当はこうだったのさ」

シダックスの雄、日大の雄、明治の雄の投手リレーを完成させた時、プロ野球界に永久の繁栄がもたらされるであろう

ガイエル「トコロガ大キナ誤算ガ生ジテシマッタンデスネ。」
日ハム小笠原「君たち三人が・・・あまりにもふがいなさすぎたんだ・・・」

一・野・那「ぐっ・・・」

日ハム小笠原「本来ある一定の力に達したものを採用しなければこの儀式は完成しなかったんだ」
ガイエル「ソレデ原監督ハ古文書ノ魔力ニ逆二ヤラレテシマイ・・・」

一場「平和ではなく・・・魔物を呼び出してしまったんですね・・・」

一場「やっぱり俺たちのせいでこんな・・・」
那須野「オールスターが台無しじゃないか・・・」

日ハム小笠原「・・・・もう一度だけチャンスをあげようか？」

一場「えっ？」

日ハム小笠原「本当はいけないんだけどね。ゲームで言ったらリセットボタンというやつかな？」
中日中村ノリ「開幕までな・・・時間を戻せるんや。一度だけな・・・」

一場「あなた方はいったい・・・」

ガイエル「コレ以上ハオ話デキマセン。ゴッデスニシカラレマスカラ」

日ハム小笠原「でも巻き戻ったからといって未来が変わるわけじゃない。原監督はもう古文書を読んでしまっている。君たちはオールスターにえららばれるんだ」

一場「そんな・・・繰り返し？」

ガイエル「一場サン。成長トイウ言葉ヲシッテイマスカ？」

中日中村ノリ「お前たちが成長すればええんや。そしたら原監督もおかしくならず、野球界にも恒久の平和がもたらされるんや」

野間口「俺たちに・・・・できるかな・・・」

日ハム小笠原「できるかできないかじゃない。やるしかないんだ」

一場「！！」

日ハム小笠原「もうサイコロは投げられたんだ。なんとかするには開幕からオールスターまでの期間で君たちが結果を残すしかない」

ガイエル「アトモドリハデキナインデスヨ・・・・」

一場「・・・・・・わかりました。俺たちはやりますよ」
那須野「な！？一場？」
野間口「そんな無責任な！」

一場「城嶋さんも言っていた・・・これがプロ野球なんだと・・・」

日ハム小笠原「じゃあ開幕前に時間を戻すからね。」
中日中村ノリ「もうヘルプはなしやで。」
ガイエル「健闘ヲオ祈リシマス」

ビュウウウウウウウウウウン

一場「ここは・・・戸田・・・？」

一場「俺はいったい・・・あれは夢だったのか・・・？」

一場「いや・・・そんなことはどうでもいいんだ・・・」

一場「成長、俺は成長しなくちゃいけないんだ・・・！　米野さん！」

FIN

男「あなたの父親はスペインで出生していたことが判明したため、あなたにスペイン代表の資格があることが分かりました」

一場「そんな・・・」

男「別に辞退しても構わないのですが、あなたの大学時代のピッチングをYoutubeで見た代表選手達が是非ICHIBAに加わっていただきたいと」

一場「うーん・・・」

男「出場辞退しますか？」

一場「・・・いや、出場させて貰えますか？」

男「そうですか、では詳細やチームの日程などは後々・・・」

一場「(諦めかけてたメジャーリーグへの道。それが・・・もしかしたら・・・)」

男「ちなみに我がスペイン代表は予選を突破し来年3月にプエルトリコで行われる第一ラウンド Pool Cで戦うことが決まっています、参考までに」

一場「(肩はまだ痛むけど、神様が最後にくれたチャンスを逃すわけにはいかないな)」

一場「どれどれ・・・WBC Pool Cっと」

ﾎﾟﾁｯ

一場「へ～上位2位までに入れば第二ラウンドに進めるのかあ～」

一場「出場国は・・・ベネズエラ、プエルトリコ、ドミ・・・ドミニカぁ？！」

ベネズエラ・・・メジャーリーグで45年ぶりの三冠王に輝いたタイガースのカブレラ、WシリーズでMVPに輝いたサンドバルなどが出場が決定。前回大会4強の強豪

ドミニカ・・・ヤンキースの4番カノー、プホルス、ベルトレなどのメジャーを代表する強打者が揃う。第1回大会4強

プエルトリコ・・・第1回大会ではドミニカ、第2回大会ではアメリカを倒すなどした伏兵

一場「なんてことだ・・・これじゃあ3戦全敗確定じゃないか・・・」

一場「そういえばこっちのスペイン代表はどんなメンバーなんだろ・・・」

>スペインは国際野球連盟（ＩＢＡＦ）の世界ランク１８位。代表メンバーは、米国のマイナーや、スペインの 国内リーグでプレーしているベネズエラ、ドミニカ共和国などの選手。
先週オランダで行われた欧州選手権の代表メンバーで入ったのは投手１人、野手２人しかいない急造チームを、ＭＬＢが編成したと思われる。

一場「・・・・・・あまり強くはなさそうだな・・・」

一場「まあメジャーリーガー相手に投げることだけで幸せかな・・・」

こうして一場のアメリカンドリームへの挑戦が始まった

2月、スペイン代表合宿当日

一場「(結局日本の球団から獲得のオファーはなかったか・・・この大会が節目かな・・・)」

Ｍ・マゾッティ「ヘイ！ICHI！」

一場「あ、監督だ」

Ｍ・マゾッティ(52)
スペイン代表監督、イタリア出身でアストロズ、マリナーズの欧州スカウトを務めた経験がある

マゾッティ「ICHI！そろそろブルペンで投げてくれないか？我々は早く君の投球を見たいんだ」

一場「わ・・・分かりました、でもがっかりしないでくださいね・・・」

マゾッティ「そんな謙遜する必要はないぞ、さあ！早く」

ブルペン、いやグラウンドにいる全選手の視線が一場に注がれる

一場「(クソッ！)えいっ」(ｼｭｯ

ｽﾞﾊﾞｰﾝ

捕手「Oh・・・」

マゾッティ「・・・もう1球頼む」

一場「(ほーら見ろ)くそっ」(ｼｭｯ

ｽﾞﾊﾞｰﾝ

選手A「あのビデオほどの球威はないな・・・」

選手B「なぜかサイドで投げてるし」

選手C「そもそも本当にあのICHIBAなのか・・・？」

一場「(やっぱりこういう空気になるよな・・・)」

マゾッティ「・・・・・・」

一場「(監督もがっかりしてるだろうに・・・申し訳ない・・・)」

マゾッティ「これは・・・これはJapanese Pitcher！！」

一場「はあ？」

マゾッティ「球威こそないもののサイドやもしくはアンダースローから繰り出されるキレのある変化球とコントロールで勝負する日本独自の技巧派ピッチャー！」

一場「・・・」

選手A「それ、凄いんですか？」

マゾッティ「日本にはSaitoh MasakiやSugiura Tadashiなどの素晴らしいサイドスローの投手が昔いたと聞いているぞ！」

一場「さい・・・すぎ・・・斎藤雅樹に杉浦忠さん？いや・・・その2人は元々球速も・・・」

マゾッティ「そういえば私がアメリカに行った時、日米野球から帰ってきたとある選手が興味深いことを言ってたな！」

選手B「なんですか？」

マゾッティ「Kawajiriとかいうなんの変哲もなさそうなサイドスローの投手にあやうく完封されかけたと・・・」

一場「阪神の川尻さんのことか・・・？」

選手C「もし同じことがドミニカ相手に起きれば・・・」

マゾッティ「いける・・・我々にもチャンスが生まれてきたぞ！」

マゾッティ「ICHI！君は我々の救世主だ！期待してるぞ！」

一場「い、いや、あの・・・」

マゾッティ「何も言うな・・・君にも苦労があったんだろう・・・あのビデオのような唸る速球が投げれなくなり試行錯誤した日々が・・・」

一場「(それは当たってるけど)」

マゾッティ「だがこれはチャンスだ！実はあのビデオのような投球をしていたらドミニカやベネズエラの一流打者には簡単に捉えられてしまうと伝えようと思っていたところなんだ！」

一場「・・・」

マゾッティ「それが我々にピッタリのモデルチェンジをしてきてくれるなんて・・・全く君は大したやつだな、HAHAHA！」

一場「(なんかどんどん状況が悪くなってるような気がするなあ)」

こうして他の選手からも一目置かれるようなった一場は段々とチームに溶け込んでいった

WBC第一ラウンド Pool C
スペイン代表の日程

3月8日 vsプエルトリコ戦
3月9日 vsドミニカ共和国戦
3月10日 vsベネズエラ戦

マゾッティ「ICHI！君は9日のドミニカ戦に投げてもらうことになった！」

一場「ドミニカ・・・ですか・・・」

マゾッティ「最も力の差がないプエルトリコ、そしてICHIの投球が炸裂するドミニカに全ての戦力をつぎ込むぞ！ベネズエラ戦はどうなっても構わん！」

一場「はあ・・・」

マゾッティ「我々がどうせ一番弱いんだ、勝ち負けなんて関係なく全力で相手にぶつかろう！」

一場「(・・・そうだな、やる前から相手に屈したらいけないよな)」

プエルトリコ戦

？？？「もしかして・・・ICHIBAじゃないか？！」

一場「？」

ロマン「俺だよ、去年一緒にプレーしたじゃないか！」

一場「ロマン！？代表入りしてたのか？」

ロマン「俺こそ驚きだぜ、お前とまさかスペイン代表戦でお目にかかるとはな。どうした？スペイン国籍でも取得したのか？」

一場「いや・・・色々あってな」

ロマン「まあWBCはそこんとこ緩いからな、とにかくお互い頑張ろうじゃないか！」

一場「お、おう、負けないぞ！」

試合はスペイン代表が事前の予想に反して喰い下がり一進一退の攻防となった
5-5 9回表、スペインの攻撃 2死1塁2塁

マゾッティ「まずいな・・・代打を出したいのに総力戦のつもりで選手を次々に送り出してたから打てそうな選手がいないぞ・・・」

一場「(監督・・・)監督・・・自分が行きます」

マゾッティ「ICHI！？大丈夫か？バッティングはあまり得意じゃないんだろ？！」

一場「相手ピッチャーのロマンの球筋は去年一緒にやってたから僕は一番慣れてると思います・・・」

マゾッティ「・・・分かった、ICHI 君に託すよ」

マゾッティ「代打、ICHIBA！」

ロマン「ICHIBA・・・まさかバッターとして対決することになるとは・・・」

一場「(打席に入るのも久しぶりだな・・・まともにバット振れたらいいけど・・・)」

ロマン「例えICHIBAであっても全力を尽くすのみ・・・」(ｼｭｯ

一場「(頼む・・・当たってくれ・・・)」(ｼｭｯ

ｶｷｰﾝ

ロマン「？！」

一場「！？！？」

実況「ICHIBAの放った打球は伸びてゆく！伸びてゆく！レフトスタンドに一直線！！！！代打ICHIBA、起死回生の代打勝ち越し3ラン！」

一場「嘘・・・だろ・・・」

ロマン「No・・・」

その裏クローザーとしてマウンドに上った一場、しかしお得意の制球難が炸裂し1死1塁2塁のピンチを迎えてしまう

マゾッティ「(どうしたICHI・・・調子が悪いのか・・・？)」

一場「(くそっ！肝心のピッチングがこれじゃあ話にならねえよ！)」(ｼｭｯ

審判「ボール、ボールスリー！」

実況「ICHIBA！この打者にも3ボールノーストライク！ストライクが入りません！」

一場「(駄目だ・・・もう投げれる球がない・・・)」(ｼｭｯ

一場「ヤバい、指にボールがかかってない・・・」

バッター「Oh！ドマンナカ！ゼッコウキュウ！」

ｸﾞｼｬ

一場「えっ」

バッター「えっ」

実況「バットが折れた～ショートとって6-4-3と転送して3アウト！試合終了～ スペイン！格上と見られていたプエルトリコに勝ちました～」

一場「(打ち損じたのか・・・？いや違う！あれは手元で・・・)」

マゾッティ「ICHI！ヒヤヒヤさせやがって！ともかく予定外のリリーフお疲れ様！」

一場「あ、ありがとうございます・・・(これは、次のドミニカ戦もいけるかもしれないぞ！)」

ドミニカ戦

実況「ICHIBA、これで4者連続でゴロアウトに仕留めています、完璧な立ち上がりです」

プホルス「ナンデミンナウテナインダ・・・？ヨーシ、コノオレガ・・・」

ｸﾞｼｬ

実況「プホルス打つもピッチャーゴロ！ICHIBA、伝家の宝刀シュートで最強ドミニカ打線のバットを折りまくっております！」

一場「(これはただのシュートじゃない・・・ずっと、ずっと追い求めてきた一場特製ドラゴンシュート！)」

一場「(滑りやすいとされる国際球とマッチして初見では対応するのはまず不可能なキレとスピードが生まれてるんだ)」(ｼｭｯ

ベルトレ「クソッ！」

実況「バッター打ち上げるもレフト定位置でとってアウト！ICHIBA、2回までパーフェクトに抑えております」

マゾッティ「素晴らしい・・・これで点が入れば勝てる・・・勝てるぞ！」

その後5回にドミニカの失策絡みで1点を先制したスペイン
8回まで2安打無四球零封と完璧なピッチングを見せる一場が9回のマウンドにも上がる

実況「大変なことになってまいりました、野球後進国スペインが、あのスター軍団ドミニカを破ろうとしております」

一場「(あと・・・3人・・・)」(ｼｭｯ

ｺﾞｼｭ

実況「先頭バッター打ち上げるもサードフライ！ワンアウト！」

一場「(勝てる・・・勝てるんだ・・・)」(ｼｭｯ

審判「ファール！」

ドミニカ監督「クソッ！なんであんな大して球威のない球が打てないんだ！」

カノー「大丈夫ですよ、監督。あの投手次で70球目です」

ドミニカ監督「それがなんだって言うんだ！お前らちょっと早打ちし過ぎなんだよ！」

カノー「WBCの投球制限により第1ラウンドでは70球を超えて打者に投球することはできません、つまりあの投手はこのバッターで交代しないといけないということです」

ドミニカ監督「・・・そ、そうか！

カノー「どうせ代わりに出てくるピッチャーなんて大した投手じゃないでしょう、それを俺がスタンドまで運べばゲームセットですよ」

ドミニカ監督「任せたぞ、カノー！」

一場(ｼｭｯ

ｸﾞｼｬ

実況「ベルトレ打つもボテボテのサードゴロ！しかしこれは面白い当たりだぞ～！」

サード「クソッ！」(ｼｭｯ

実況「ああーとボールが逸れている～その間にバッターランナー2塁へ～」

実況「1アウト2塁！ドミニカ、一打同点の場面を迎えます！」

サード「すまない・・・ちゃんとボールを握れなかった・・・」

一場「気にするなよ、俺がこのカノーと次のバッターをちゃんと抑えればゲームセットだ」

審判「おい、ピッチャー交代だぞ」

一場「えっ・・・どうして？」

マゾッティ「大会規定により第1ラウンドで70球を超えたら投げられないことになってるんだ、ICHI」

一場「そういえばそんなルールがあったような・・・」

マゾッティ「ICHI、ナイスピッチングだった、敬意を表するよ」

一場「ありがとうございます、監督」

藤井「仕方ない・・・こっちはなんとかするしかない。それよりヤクルトもCSを控えているんだろう？自分達のチームの心配もしろよ」
一場「・・・そうだな。マーをよろしく頼む・・・」

一場「くそっ」(ﾀﾞﾝｯ！

その頃ナゴヤでは・・・

由規「うっ！」
相川「どうした、由規？・・・ん？まさか・・・」

ナゴヤドーム

一場「ん？やけに人が少ないな。監督や主力選手がいないような・・・」

一場「えーと・・・誰か・・・お、川本がいたぞ」

一場「川本、監督や主力はどうしたんだ？」
川本「それが・・・明日先発の由規がマメを潰しちまって・・・今緊急ミーティング中だ」
一場「何だと！」

ミーティングルーム

高田「困ったねえ・・・明日は由規のプランで構想を固めていたのに」
荒木「ユウキか高木で行きますか？」

バーン

一場「ちょっと待って下さい！」
荒木「な！？一場！お前戸田にいたはずじゃあ・・・」